お墓じまい
先日、身内(叔父)のお墓じまいの件で呼ばれて行ってきた。
いきさつ
5年前の祖父の法事が五十回忌で弔い上げになり、その席で叔父が兄弟の前で、お墓じまいについての相談をしたのだ。
近年は珍しいことでもないその提案は、あっさり皆も納得し、叔父としては心が軽くなったのではとその時察した。
叔父は実のところ三男で、次男が私の父親で、長男が子供のころ亡くなったため、次男と三男と四男は繰り上げで立場が変わったのである。長女も間に一人いる。
その時代は、戦争の影響もあり、異父兄弟・異母兄弟が普通に混ざり合った関係性で暮らしていたそう。私の母親もそんな感じだった。
戦争でソ連に捕虜になっていた為、帰りが遅くなり、亡くなったと思われ、妻が再婚する場合もあった時代。ある日ひょっこり祖父が帰ってきたそう。
祖父ものちに再婚し、生まれたのが叔父たちだった。
叔父と父の場合は、異母兄弟という関係であったので、長男に繰り上がった父が、戦争後に樺太から引き揚げた祖父が早くに他界したため、弟を学校に行かせる為に中学を卒業したら、すぐに働きに出たのである。
ついでに、父はその後に実家を出て、住まいを変えたため、実家の長男という立場を次男に渡し、戸籍も変わったのである。異母とその息子である次男に実家を任せた感じ。
実家のお墓も、それまでは私の父も色々とやっていたが、ある日「お骨があと一人しか入れない」と言い出し、「次男が入る分を残したい」と自分は身を引き、新たに墓地を購入したのだった。
それから20年が経ち、叔父も70代半ばの独り身、お墓じまいを元気なうちにと考えたのだろう。賢明な判断に思えた。
初めてのお墓じまい
私と兄に連絡が来た。墓じまいをすることの立ち合い要請だった。ついにその時が来たと思った。
なぜ、私と兄というのは、近い場所にいる身内で、叔父が独り身のためもあり、今後も必要だというのと、私の父(叔父にとっては兄)が認知症で、施設にいるが健在なので、一緒に連れてきて欲しいからだった。
もちろん叔父にとっても初めて尽くし。
お墓じまいの服装と数珠持参
主である叔父に服装は平服でよいと言われ、明るすぎない色が良いかと思い、80代の父にはグレーのシャツと濃いグレーのパンツを着用してもらい、薄手のジャンパーを着てもらい、70代の叔父も似たような服装をしていた。
50代の兄は、緩すぎないカジュアルで、黒いパンツに黒いカットソーで、40代の私(女)は、黒いパンツ、と黒いシャツだったが、雨でなかったら、黒いロングワンピースにベージュのカーディガンを着る予定だった。もう一人の叔父もわりとカジュアルな装いだった。
季節が4月なので、温かいが薄い羽織は必要、まして雨だったから。
こじんまりとした5人の集まりだったので、あまり服装を気にせずに済んだ。ただ、全員きちんと数珠を持っていた。
叔父の思い
叔父は兄(私の父)にも最後に立ち会って欲しい、いや最後だからこそ、認知症でもきっとこのセレモニーは伝わると信じて一緒に見届けて欲しいという気持ちだったのだろうと察し、私は少し不安であったが、施設に説明して、施設的にも父なら問題ないというので、前もって外出許可を得た。
イメージとちょっと違った
さて、お墓じまい・一体何をするのだろうか?頭の中では、お墓に行き、和尚さんからお経をあげてもらい、私たちはお骨を丁寧に取り出すようなイメージでいた。
数日前に、叔父から当日話があるとLINEで言われ、なんだろうと緊張した。
いざ当日、聞けばイメージしたお墓の件は、住職指導の下、すべてこの日まで終わらせ、更地になったと聞かされ、証拠写真を見せられた。少しショックだった。その日に限って一日雨だった。
子供の頃から、年に数回訪れていたお墓がすっかりなくなってしまった、これがお墓じまいなんだ。
その宗派などで手順も多少違うとは思うが、こちらの住職曰く、あらかじめ石屋さんとお墓に入り石材や戒名などを回収し、お骨は丁寧に取り出して、お寺で乾かしておいて、当日に身内とともにお寺でお経をあげ、供養するまでに仕上げるものだそうだ。
石屋さんの慎重かつ丁寧な作業ぶりで、お隣の敷地や墓石を傷付けることなく、お墓をキレイに終わらせたことに、感動を覚えた。ご参考までに、費用は百万円ほどしたそう。(地域や坪や宗派で変化あるかもしれませんよ)
叔父の今後も、永代供養という形になり、年でまとまった額を収めて(10年分渡していたようだった)叔父が万が一のその後は、収めることはなくなるといった話であった。やはり、お寺さんにより金額は変わると思うので、これは金額情報伏せます。
お寺で30分ほどお経をあげてもらい、先祖十名の供養をして頂き、今までの感謝をした。
その後、お骨をお寺の中に収め、今後はお寺のなかの仏壇にお参りすることになった。
何もかも初めてのことで、お墓じまいとはこういった流れでするものだと、勉強になった40代と50代の兄弟である。
叔父に対しては、長年頑張って働いて、お金を堅実に使い蓄え、こうした形でお墓をしまう事をやり遂げたことに深く尊敬をした。
対して役に立たない、私たち姪っ子甥っ子に対して、叔父はとても感謝をしてくれた。
今後は私たちがサポートするので、心配しないで、おじちゃん。
本人はこの日のために、相当な準備をしてきたことも伝わり、その顔も最後には疲れを見せていたが、大役を果たした安堵感や満足感も感じずにはいられなかった。
もうひとりの叔父(次男)が遠方から駆けつけて、兄である叔父をしっかりサポートをして、縁の下の力持ちだったことも、付け足したい。
そして、中年である私も子供がいないので、いずれ考える時が必ず来る。
父が認知症になる前、私に自分の葬儀のすべてを細かく伝えてくれていたので、本当に良かったと思う。
まとめ
〇お墓じまいの前段階があるので、お寺さんとよく話をする。
〇服装は、その家族の考えや人数などで、こだわらない場合
もある。一応は、場にあった形が理想かも。数珠あれば持参。
〇料金は、約100万円かかったが、必ずこの金額かは分からない。その後の永代供養の場合も料金が発生するので、お寺さんとこちらもよく相談で。
お墓じまいは、その地方や宗派で、やり方・料金に差があるかもわかりません。あくまで私の身内の場合こうだったという話ですので、参考になるかわかりませんが、初めての経験を語らせて頂きました。
最後までありがとうございました!
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